概念試作(1)
まず、こちらをご覧頂きたい。
Fig1.0 構造概念検証モデル
当方と長くおつき合い頂いている方には、
もしかすると、もう見飽きたものかも知れないが、
今回もここから始めたいと思う。
Fig1.1構造概念検証モデル(斜視)
(fig1.1~1.3)は「SD戦国伝」のキャラクターの体型をイメージして
組み上げた、構造概念検証モデルである。
素材として、(株)ギミック&スティール社のBJPMを使用している。
このBJPMは複数社より販売される同種のビルディング素材用汎用ジョイントに
比して、格段に高い精度を以て成型されており、
保持力と動作のスムース性に優れ、経年変化も少なく、
材質(ABS樹脂)の加工性も非常に良好である。
ただし、価格面において、同種のそれらの倍以上である、
という点は付記しなければならないだろう。
普及に伴う低コスト化に期待したい。
Fig1.2構造概念検証モデル(正面)
プロポーションに関しては、
有りもののパーツで組み上げられる範囲での再現度であり、
一般的にSDガンダムのイメージとして知られる
2.3~2.5頭身のバランスとは少々異なる。
動作自体の考察を優先したためであり、
現在、製作中のデザイン検証モデルでは、ある程度改善される予定である。
ここであらかじめ付記しておきたいが、
今回は、前述(概要)の通り、模型的見地、
すなわち、模型化、劇中のイメージで自在に動く”人形”の作成を最優先目標としている。
体構造に関する考証は、模型としてのデザインの方向性を決定付けるために
若干行っているのみである。
たとえば、ボールジョイント(注1/以下BJ)で構築されている関節は、
本来ならば、劇中における実物の駆動機構を考察した上で、
そこから形状を考えなければならないが、今回は、その行程はほとんど省いている。
ただし、非常にあいまいではあるが、何らかの駆動機構が収まり得る空間は
確保する、という程度は心がけている。
Fig1.3構造概念検証モデル(背面)
目を引くと思われるのは、
腕部を除くほぼ全身の骨格が、前後二重に存在することだろう。
これは、前後に厚みを持つ”SD体型”に説得力を持たせつつ、
重心の移動をこなせるだけの可動範囲を併せ持たせるべく選択した形態である。
人間でいうところの”骨格”に相当する構造体だが、
基本的にこれのみで稼働するものと考え、筋肉に相当するものは無い。
シルエットとして、真正面から見た際の頸部、腰部の大きなくびれは、
デザインに盛り込んでしまうか、逆にデザイン上で補正するか、
現状ではまだ結論が出されていない課題である。
次回は機能面について、順次ご覧頂きたい。
注1:工業製品分野において、”ボールジョイント”とは、
模型分野のものと用途も形状も異なるものだが、当記事ではこの呼称で統一する。