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バンダイ SDX スペリオルドラゴン

SDガンダム関連商品としては初となる、
ハイエイジユーザー向けシリーズとして展開する、"SDX"

立体化、商品化というレベルにおける、いま現在の形状考察、細部の解釈など、
マスプロダクツ側が認識する、"SDガンダム像"を把握するための題材としては、
格好のものであると思われる。

スペリオルドラゴン

今回は、SDXの中でも、
中世騎士世界をモチーフとした"SDガンダム外伝"において、物語のキーとなり、
高い人気を誇る、『スペリオルドラゴン』をご紹介させていただき、
この製品を通して、それらの要素を探っていきたいと思う。


全体像。

スペリオルドラゴン全景
(クリックで拡大)

頭身バランスは、近年の足を長く、胴を薄くする傾向のアレンジからは遠く、
『元祖!SD』の末期作や、『BB戦士』『トウ覇大将軍編』(※1)頃の体形に近い。

(※1:"トウ"は"刀"を三つ、"森"重ね)

全身のメッキによって、非常に絢爛豪華なイメージ。
ただ、当然の如く指紋が目立ちやすい。気を遣ったつもりだったが、
多少指紋が残ったまま撮影してしまった。

赤い部分も、メタリック塗装が施され、全身隈なく金属的な質感に統一されている。

頭身、形状含め、『元祖!SDガンダム』(横井 孝二 著)初期作や、
トレーディングカード(カードダス)に掲載のイラストを基にしているらしい。

スペリオルドラゴンバストアップ

バストアップ。
特徴的な形状の頭部がやはり目を引く。

質感の異なるように見える胸部は、ダイキャスト製。
ミニカーのように、
重量を増す事で、手に取った時の品質を向上させようという意図と思われる。

現状のサイズ、商品仕様ではこれで限界と思われるが、
将来的には、中世ヨーロッパ騎士の板金鎧の構造までをモチーフにした解釈に期待したい。

スペリオルドラゴン顔面

頭部顔面。

顔面の造形が、やや幼い解釈になっているが、
この辺の好みは意見が分かれるところだと思う。

個人的には、このデフォルメ顔も味があるとは思うが、
旧『元祖SD』版のような、目の部分の奥まった解釈を盛り込んだ、
少し険しい印象の目の細いアレンジでも良かったように思われる。

手持ちの元祖SDが手元に無く、比較できないのが惜しい。

また、これは、当方の仮説なのだが、

スペリオルドラゴン頬当て形状仮説

上の写真に書き込んだ、赤い矢印部にご注目いただきたい。
頭部側面、頬当て部分から後方に延長された形状だが、もしかすると本来は、
赤い破線のように、もっと薄く、角度の鋭い形状だったのでは、と思えるのだ。

スペリオルドラゴン頭部背面

製品にて採用された形状は、旧元祖SD版と酷似しているが、
この形状は、旧元祖SDにて、
頭部を左右分割にて成型する際に採用された解釈なのではないか、と思えてならない。

頬当て画像加工

画像を加工し、右耳側のみ、仮説の形状に変更してみた。
これも結局は、どちらが良いか、というと、多分に個々人の趣味の問題となってくるが、
考察という観点から、このような解釈が可能という事を提示しておきたい。

たまたまではあるが、
『電撃HOBBYMAGAZINE』(メディアワークス社刊)2009年12月号に添付された
小冊子の表紙となった、横井孝二氏の描いたアレンジ版のスペリオルドラゴンでは、
頭部頬当て延長形状が、薄く"ひれ"のような形状に描かれている。

スペリオルドラゴン背面
(クリックで拡大)

背面。
翼、推進器、尾(スタビライザー?)など、
幾多のユニットが搭載され一回り大きなシルエットを形作る背面は、
スペリオルドラゴンの立体上の見せ場の一つと言って異論は出ないであろう。

旧元祖SD版では、推進器が箱状に固定された状態で立体化されていたが、
SDX版では複数の懸架部からなる可動構造を備え、
推進器と、その上部に搭載された翼の角度をかなり自由に動かすことが出来る。

ただ、デザイン的には動きそうに見える、整流板?部分は別パーツながら固定されている。
内部のノズル部分の形状から、
ここが開かないと噴射を思い切り遮ってしまっていると思われるのだが・・・。

スペリオルドラゴン翼展開

旧元祖SD版でも展開ギミックが盛り込まれていた巨大な翼は、
よりシャープな形状になりつつ、新解釈にて、フォルムを崩さずコンパクトに折り畳み可能。
一番外側の上段の羽の内部に、中段、下段の羽を押し込んで収納する。
このような新解釈が生まれる事が、立体化の大きな意義の一つと言える。

スペリオルドラゴン素体

内部の骨格部分に、同SDXシリーズ『ナイトガンダム』と同一部品を多数用いている関係上、
胸部など、一部の外装部品は着脱可能。

スペリオルドラゴンには、設定上の"軽装タイプ"は存在しないと思われ、
構造上の都合を用いた、トイ的な"遊び"であり、新たな解釈、というわけでは無いようだ。

ただ、"兜"を外した状態のいわゆる"軽装タイプ"頭部は造形されておらず、
後述の目線パーツ組換えのための分解工程となっている。
この構造は、"軽装タイプ"が存在する同シリーズアイテムにも共通であり、
"軽装タイプ"については、"軽装タイプ"形状の頭部カバーに組み替える事で対処している。

製品サイズから来る素材の厚みの積み重ねの限界と、
兜を被った外観形状とのトレードオフ、という判断だと思われるが、
やはり構造の再現、という観点では、残念と言わざるを得ない。


スペリオルドラゴン胸部装甲

胸部装甲単体。
気になったのは、襟の部分。
ガンダム系デザインでは恒例となっている、首関節を囲みこむ襟の部分、
その内側がふさがった形状になっている。

この部位が、首を下に向けるとアゴがぶつかる。
意匠的にもここを開口することに問題があるとも思えず、
成型上の都合といえばそうかもしれないが、大きな理由とも思えない。
出来れば、試作レベルで検証して改善して欲しかった点である。

スペリオルドラゴン腕部構造

腕のカバーを外し、関節部を露出させてみた。
肩基部の球状カバーを有する関節、肩、肘、手首基部、
それぞれ水平回転関節とヒンジ関節が仕込まれており、角度調節可能。
手首はボールジョイント接続で、後述の表情付き手首と換装可能。

特に目新しいスペックは盛り込まれていないが、有ると無いとでは雲泥の差。
元々、それほど大きな動作を見込まれていない全身鎧デザインなので、
これくらいでも用を成しているとも言える。

SDガンダムの腕部可動においては、関節各部のスペックよりも、
長さの不足によって、曲げても姿勢の変化が現れない、という問題の方が大きい。
外観上の長さは、腕を下ろした時のプロポーションからほぼ決定されてしまう為、
構造的に、動かした際の正味の長さを"誤魔化せる"ような構造が望まれる。

スペリオルドラゴン頚部構造

顔面まで外し、首関節を露出させた。

頚部最大可動展長

ポージングを無視し、クリアランスの限界まで引き伸ばすと、このようになる。

この関節は、前後2ヶ所に、つづら折れ状にリンクを設置し、
胴体と頭部との隙間を広げながら、前後それぞれに傾ける事が出来る。
また、この製品では、リンクの可動範囲にリミットが設けられており、
"ろくろ首"状に、過度に首が長くなる事を抑制している。

SDガンダムの頭部を前後可動させようとする際には、
わりと古くから知られる構造だと思われるが、
近年では、『Hobby Japan』(Hobby Japan社刊)に掲載された
『武者烈伝』BB戦士の作例で目にした方も多いであろう。

首~胴のクリアランスを広げながら曲げられるため、
比較的外観に左右されないという利点を持ち、
特に、首を上に向ける際のシルエットが違和感無くまとまる。

ただし、逆にうつむく方向では、首全体が持ち上がるように可動するため、
目線は下げているのに、正味の目の位置は上昇する、という欠点が存在する。

スペリオルドラゴン脚構造

脚部基部。
可動、という観点では、旧元祖SD版と大差無い。
足首と腰の間を、"脚"で接続した形となっており、
事実上、足首の角度を調節する程度の役しか担っていない。

足首側の関節位置が低く設定されているのは良い点だが、
それを発揮させるほど、腰~脚間の可動範囲は広くなく、
見た目、気のせいという程度しか動かないのはさすがに物足りない。


他、腰にも関節が存在する。
ボールジョイントで上半身下半身を接続したオーソドックスな構造。
デザイン的に、回転方向は元々それほど動かないが、
上下に若干角度が付くため、身を反らせた飛行姿勢などのポーズに役に立つ。


総じて、可動に関して述べれば、
新しい機構を採用した頭部を除き、正味のところ、旧元祖SD時代となんら大差ない。
ある意味、"今までの総決算"としての設計である、と見る事は出来るが、
それ以上への踏み込みは試みられていないように思われる。

極端な話、もし、十年前に望まれていれば、十年前に作ることが出来た商品である。
その先の十年を感じさせる要素は、少なくとも機構という局面では感じられない。

どうにも、"SDは動かない"という固定観念が、
メーカー、ユーザー双方に深く根付いてしまっているように思えてならない。

現状の常識を覆すようなパラダイムシフトが必要である、と、当方は考えている。


さて、この製品には、機構的に動かない事を補填しつつ、自由に演技を付けるため、
色々とオプションが用意されている。

スペリオルドラゴン目線パーツ

まず、目線パーツ。前述の頭部分解によって"目"部分を取り外し、換装して使用する。
左右目線と、イラストなどで見受けられる、"笑い目"、
そして、恐らくOVA『SDガンダム外伝IV 光の騎士』登場時の、
未覚醒状態を再現したものと思われる、金色のものが付属。
ランナー状態で同梱。

目の構造についても、いずれは決着を付けねばならない議題だとは思うが、
現状、"瞳の有無"というレベルまで意見が割れている為、マスプロ商品としては
手を付けづらいところでもあるのだろう。

スペリオルドラゴン手首パーツ

こちらは、手首パーツ。手首ボールジョイント部から先を差し替えて使用。
握り手、平手、武器持ち手、龍形態時の鉤爪、それぞれ左右分付属。

しかし、何かやむを得ない都合があったとしか思えないが、
この黄色の成型色むき出しというのは、いささか前時代的な処理に思える。
近年のトイでは、軟質樹脂へのメタリック彩色も可能になっているはずなので、
全身のきらびやかさから明らかに浮いてしまうこの成型色は本当に惜しい。

目線と手の仕草

目線パーツ、手首パーツの使用例。
特に、目線パーツは、首がデザイン上あまり左右に旋回できないため、
ポーズを付ける際に非常に重宝する。

この二本指を立てた手首は、実はイラストに描かれていたVサインを再現するものらしい。
どうもこの製品の開発側は、SDにギャグ調のイメージを強く抱いているようで、
他の商品でもこの方向性のパーツは欠かさず付属する。

スペリオルドラゴンOVA版状態
(クリックで拡大)

金色の目・アゴパーツを使用し、右側の鞘と剣を外して一刀のみ装備の、
OVA準拠状態にしてみた。

シールドの十字レリーフ部分がOVAでは無いと思って外したが、
撮影後に確認してみたら、多少小さいアレンジだがちゃんと付いているのが正解のようだ。

金色の目は、漫画作品などで見られる、
"気合を入れたときに目が光って黒目が隠れる"
演出に用いても良いのだろう。


二刀流状態。
2本の炎の剣、と称されるダブルソードを装備。
竜尾の鞘から抜刀可能。

シールドを背面に

抜刀可能なのは素直に嬉しい。
このようなデザインで、"鞘の形状重視で"という理由で、差し替えにしてしまう商品が、
バンダイ社製品においてはかなり多いため、心配ではあった。

この時、シールドはどうしても余剰となってしまうため、
バックパック、尾の部分に引っ掛けてみた。
シールドの処理については、元祖SDの頃から、というか設定レベルで未解決の課題。
大型のシールドを装備しているけど、主兵装が二刀、というのは、
デザインレベルで解決して欲しい衝突要素ではある。

写真の状態だとあまり違和感無いが、本当に引っ掛けているだけなので、傾けると落ちる。

ちなみに余談だが、当方は元祖SDを買った当時、
盾を左肩の竜頭に接続可能なように小改造していた。

スペリオルドラゴン飛行ポーズ

飛行ポーズ。
元々のデザインから、翼や剣の向きだけで、空間的に大きな広がりを持ち、
見栄えはかなりのもの。
首の上向き可動はこのようなポーズで活きる。

また、同梱のスタンドを用いて、このようなポーズでも静止した状態に固定できる。
ただ、亜鉛ダイキャストを随所に用いている代償として、
その重量から、浮かせた姿勢では安定しきっている、とは言い難い。
長時間の展示の際は重心を支柱上に載せる、など注意されたい。

スペリオルドドラゴン、シールド

シールド単体。
象徴的な"十字"のインシグニアがレリーフされた盾。
竜の顔を象ったパーツが下部にあしらわれている。

シールド裏面

裏面。
竜のアゴの部分上部にグリップ。
グリップ左右の六角穴にグリップ補助バーを装着できるが、
デザイン的に、いかにも"仕方なく"的なものに見えたので、取り付けていない。

この盾の場合、グリップのみ、ということは、地面に据えて使用するもの?
ちょっと資料が足りなくて即断できないが、振り回して取り回すなら、
腕にバンドなどで固定しなくてはならない気がする。
単に造形的に省略されているだけとも解釈出来るが・・・。

SDの場合、腕の長さ、肩の装備物とのクリアランスなどから、
このような大型の盾を装備するのが難しい。
しかし、逆に言えば、それをシステマチックに解決するデザインをすれば、
それだけでひとつのギミック、プレイバリューであるといえる。

シールド分解

シールドは、後述の各形態のため、分解可能。
十字レリーフのバックラー的形状の部分と、竜顔部分、
そして、その背面のパーツに分解される。

シールド変形

シールドは、元祖SDと同様、弓形態に組換え可能。

この形態で使用されていないパーツは、竜形態に組み込まれるもので、
元祖SDでは竜形態に変形後、残ったパーツで形成したもの、というイメージがある。

シールド弓形態裏面

尚、取説では弓の弦部分をバックラー部に接合するパーツが、余剰扱いになっているが、
このように干渉せず取付可能。
元祖SDではこのパーツが無かったから?

弓と竜顔盾装備
(クリックで拡大)

弓と竜顔を装備。
この製品では竜顔も"盾"と呼称されているため、
このように分離して持たせても良いのだろう。
強化形態である"スペリオルドラゴンEX"の元祖SD版では、
シールドと竜顔は分離した武装となっていて、上の写真のように、両腕に装備していた。

また、ここでは紹介していないが、この商品では弓の弦部分を"ランサー"と呼称し、
個別の武装として使用させているが、
もしかすると、スペリオルドラゴンEXにて、この弓に相当する武装として携行していた、
"ドラゴンランサー"がモチーフなのだろうか?
EXでは、ランサーの半分のみでも片刃幅広の剣として使用できるデザインだったが、
こちらの、このサイズこのデザインの武器を"ランサー"と呼ぶのもどうだろう。

弓形態余剰パーツ処理

また、人型形態で弓を使うと、竜形態の足爪が本来余ってしまうが、
元祖SDは構成上どうにも処理できなかったが、このSDXでは、
中間にマウントパーツを配したことにより、こうして傾けて弦を避ければ余剰にせずに済む。

多分に当方の趣味ではあるが、
余剰パーツなど、機械的に存在不能なシステムというのは、
このようなデザインにおいては不完全であると思う。

両腕の武装を構える
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両腕の武装を見得を切って構えた感じに。
竜顔は、盾というより、打突用のガントレットと考えても面白い。


竜形態。
各部の展開と組換えで、三つ首竜の姿に化身。

スペリオルドラゴン竜形態
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顔面部分に、盾をマスクのように装着、肩の竜口砲も多重懸架されたジョイントの展開で、
しっかり前を向かせることが出来る。
竜の口も、それぞれ可動。

足首に、前述の竜の爪を装備、手首は竜の爪状態のものと差し替え。
さすがにここは、設定的にも"変身"してしまっていると思われるのでやむを得ない。

一つ、ささいな苦言を言いたい。
中央の竜の口の中の、砲口と思われるパーツ。
元祖SDの頃は、それらしいモールドがあるのみだったのが、
このSDXでは、パーツ分割されているのが嬉しい。
さて、では竜の口からブレスか何か発射するポーズ、と思ってこれを動かそうとしたら、
あっさりともげた。

スペリオルドラゴン竜口内

可動軸の形状まで造りこんであるのに、何故これを固定にするか?
設定がないから?はたまた、外観が崩れるから?

この竜口砲パーツといい、背面スラスターの整流板といい、
ぱっと見で動きそうなパーツは動かす努力はして欲しい。手に取った時の落胆が大きい。

スペリオルドラゴン竜形態背面
(クリックで拡大)

背面。
バックパック中央の尾は、
この形態では(でなくても)引き下ろして腰の辺りから伸びているようにする事が出来る。
これも、元祖SD版では無かった新解釈である。

元祖SD版では、バックパックのボリュームがかなり大きく、
2基のスラスターを"後足"に見立てた、4つ足竜、
だから尻尾が上に付いている、と思っていたが、
スラスターのボリュームが小さくなったSDXでは、確かにこの解釈の方が似合う。

尻尾は、複数のボールジョイントにより、フレキシブルに可動。
翼と併せて、流動的なポーズを付けるのに貢献している。

バックパックのギミックに関しては、
翼や尾の自由度を高く確保した懸架法など、
概ね、元祖SDを大きく超えた出来になっていると言って良い。
それだけに、スラスターの整流板が開かないという点が非常に惜しい。

また、強いて言えば、スラスターユニットの懸架部が、
スラスター本体のスペースを大幅に食っている、というのも、
真面目に構造を考えると妙な話になってくる。
もし、EXやSR(スペリオルドラゴンソーラレイカー)を造るなら、改良を試みて欲しいポイント。

竜形態元祖SD準拠
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手首を差し替えず、弓を持たせた元祖SD版準拠の竜形態。
この状態ならば、元祖SD同様、何の余剰パーツも発生しない。

この製品以前の『SDXナイトガンダム』において、
軽装タイプやケンタウロス形態などでいちいち余剰パーツを差し替えていた経緯から、
竜形態への余剰無し変形は諦めていたので、
まるで心を入れ替えたかのようなこの仕様はとても嬉しい。

竜形態バストアップ
(クリックで拡大)

竜形態頭部アップ。
竜顔、肩の竜頭の造形、メタリックレッドの塗装状態などをご覧頂きたい。

中央の竜の顔については、素顔の方と同じく、少々童顔?に思えるが、
質感としては大変良い。が、中央の角がやはり黄色の成型色むき出し。
これは本当に何ともならなかったものか・・・。

尚、竜の目庇、というか、マユ部分というか、目の上部の隆起部分、
本家ガンダムで言うところの、バルカン砲口と竜顔の接続部分、
ここが、シールド状態で、バックラー形状部にはめ込まれて結合するようになっている。
重箱の隅的な指摘ではあるが、塗装面を摺動面にするというのは、
後々の剥げが心配になってしまうが、あるいは、バンダイ社的には解決済なのだろうか。

竜形態でアクション
(クリックで拡大)

適当にアクションポーズを取らせてみた。

三つ首竜の頭を持つ2頭身半の人型、という異形の形態は、
当時も今も、斬新なシルエット。

竜形態でポーズ2
(クリックで拡大)

さすがに弓を構えるのはムリか、と思われたが、意外と何とかなっている。
ただ、これだと片手で弦を引くことが出来ないので、
ボウガン的な使い方が出来る、と解釈しておくか。

光の三ッ首竜

劇中、最終決戦イメージで。
光の竜、と呼ばわるに相応しい、光り輝くような姿。


冒頭の写真でも用いたが、"初回限定"オプションとして、
『オーラエフェクトソード』が添付されている。

オーラエフェクトソード

オリジナルデザイナーである横井孝二氏により、新規に起こされたという、このパーツ、
クリア成型にオーロラ状に色が変化する塗装が施された凝ったもので、
メッキされた本体と共に、光を反射して輝く様がとても美しい。

標準状態のダブルソードに被せるのではなく、柄まで付いた状態で成型されている。
よく見ると、エフェクトの中に、ダブルソードの刀身がきちんと造形されている、
造形面のこだわりも見える。

この出来を見ると、二刀付属して欲しかった、というのは贅沢か?


総評。

過去のバンダイ社のこの方向性の製品群と同じく、
適当なポーズできれいに飾っておく、という点に関しては、
非常に優れた完成度を持つフィギュア、と言える。

厚みのあるメッキ面、ヒケの見られない成型品、ムラの無い塗装、など、
高い品質が見て取れる。

玩具、としては、少々扱い辛い。
これは、前述の半固定フィギュア的側面との両立が難しい、という事もあり、
ユーザーの観点によっては、欠点とはなりえないかもしれない。
つまり、硬質成型された突起や薄肉部の扱いや、
ポーズ換えのためのパーツ換装など、ディテールに特化するため切り捨てた部分である。

そして、SDガンダムの立体物として。

可動機構のところでも述べたとおり、
言うなれば、過去の歴史における、総決算的な出来、と言えるだろう。
あの当時、思い描いた、
きれいな塗装で、もっと動いて、もっと格好良いスペリオルドラゴン。

しかし、今、思い描くには、いささか前時代的と言わざるを得ない。

というより、過去の元祖SDを、
そのままデザインも考証も変えずに近代のテクノロジーで再設計した、と言う方が相応しい。

確かに、"懐かしいキャラの立体物"として、それを望まれた面もあるのだろう。

しかし、"懐かしい"では、そう感じるひと時が終われば、そこで消費完了だ。

文中、幾度か登場した、『スペリオルドラゴンEX』、
元祖SD版の同商品を、試しに検索し、ご確認されたい。

旧スペリオルドラゴンにおいて、
造形考証的にエッジの甘かった部分が、より研ぎ澄まされている。
ギミック、品質面においても、
2千円まではしない製品で、あの時代にして、あれだけの事が出来ている。

設計製造のコスト高騰を見込んでも、
これでは6千円するトイとしてSDXは、圧勝、とは良い難いだろう。

貴金属など用いずとも、ただプレスしただけのステンレスの皿が、どうにも美しい、
そうした、物本来の設計の魅力が、今のSDXにはまだ不足している。

古い設定やイラストの印象を活かしつつ、
さらに研ぎ澄ました解釈を盛り込む試みが成されなければならない。

6千円というコストを、本当にフルに使い切る試みが成されなければならない。

SDXを、SDを"懐かしい"と言って買ってくれる客層が居るうちに、
"懐かしい"という人間が無用なブランドに押し上げなければならない。

ぜひ、今の世に、いや、10年経っても、最前線で輝くような、
SDの魅力をフルに出し切った製品を造りだしていただきたいと願う次第である。

オーラエフェクトソード、構え

尚、本記事では、この商品の良い面が伝えられては居ないかもしれない。
トイ専門のレビューサイト殿にて、美麗な写真が多数、公開されているので、
ぜひ、そちらもご参照いただき、或いは手に取ってみて、評価されることをお奨めする。

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